If節の動詞をなぜ過去形にするのか分からないまま、仮定法過去の文を丸暗記しようとすると、少し場面が変わっただけで作れなくなります。この迷いは、過去形という形と、現在のことを表すという意味が一致しない一点から起きます。
この記事で分かること
- 仮定法過去がなぜ過去形を使って現在のことを表すのか
- if節と主節、それぞれの形を組み立てる手順
- 現実に起こりうる条件(直説法)との見分け方
対象:中学校・高等学校 学校文法(仮定法過去)
仮定法過去とは何か(現在の事実に反する仮定を過去形で表す形)
仮定法過去は、今の事実とは違うことを仮定して述べるときに使う形です。骨格は「If+主語+過去形 〜, 主語+would/could/might+動詞の原形 〜.」で、if節と主節のどちらも通常の過去形の文とは違う役割を持ちます。
過去形という形を使っているのに、表しているのは現在のことという点が、仮定法過去の最大の特徴です。過去形が持つ「今から離れている」という距離感を借りて、「事実ではない」という距離を表しています。仮定法過去は、中学校でも基本的な形が扱われ、高校ではそれを含めて学ぶ内容です。中学校で出会うif節には、現実に起こりうる条件を表す直説法の文もあります。
仮定法には、仮定法過去のほかに、過去の事実に反する仮定を表す仮定法過去完了、実現の可能性が極めて低い仮定法未来、wishに続く節で使う仮定法もあります。本記事が扱うのは仮定法過去だけです。実現可能性がさらに低い仮定法未来は仮定法未来の使い方 were toとshouldの違いで確認できます。wishに続く節の仮定法はwish構文の使い方 仮定法との関係を整理をご覧ください。
つまずくのは「過去形なのに現在のこと」という時制と意味のずれ
仮定法過去でつまずく人の多くは、if節か主節のどちらか一方を直説法のまま残しています。
1つ目は、if節を過去形にする理由が分からないまま、現在形や未来形を残してしまうことです。「もし〜なら」という日本語の感覚に引きずられ、実際に起こりうる条件を表すときの形をそのまま使ってしまいます。この結果、事実に反する仮定のはずが、現実的な予定を述べる文に変わってしまいます。
2つ目は、主節にwillやcanをそのまま使ってしまうことです。if節だけ過去形に直しても、主節がwillのままでは仮定法として成立しません。would・could・mightのような過去形の助動詞に置き換える必要があります。
どちらのつまずきも、if節と主節の両方を1つのセットとして書き換える意識が抜けているために起きます。次の見出しから、書き換えの手順を1つずつ確認します。
if節と主節を組み立てる4つの手順
以下の順番で確認してください。まず現実か仮定かを見極め、if節を過去形にし、主節の形を組み立てる並びです。

手順1:現実に起こりうることか、事実に反する仮定かを判断する
まず、話している内容が現実に起こりうる条件か、今の事実とは違う仮定かを見極めます。実現の可能性がある条件なら、If+現在形、主節はwillという直説法の形になります。今の事実と違う内容の場合だけ、仮定法過去の手順に進んでください。
手順2:事実に反すると判断したら、if節の動詞を過去形にする
if節の動詞を過去形にします。過去形は本来、過去の出来事を表す形ですが、ここでは「現実から離れている」という距離感だけを借り、事実ではないことを表す目印として使います。
手順3:be動詞を使う場合はwereにする
if節でbe動詞を使う場合、学校文法では主語が単数でもwereを使うと説明されます。口語ではwasが使われる場面もありますが、本記事では学校文法の扱いに沿って整理します。
手順4:主節の形を組み立てる
主節は「主語+would/could/might+動詞の原形」の形にします。willやcanをそのまま残すと、if節だけが仮定法で主節が直説法という食い違った文になります。
次の3文のうち、はじめの2文は仮定法過去、3文目は直説法の条件文です。手順のどこに当たるかを見比べてください。
- If Morita had a car, he would drive to work.(森田さんに車があれば、車で通勤するだろう。)
→ 手順2でhaveを過去形hadにし、手順4でwouldを使っています。
- If Ishikawa were the manager, she would change the plan.(石川さんが店長なら、予定を変えるだろう。)
→ 手順3でbe動詞をwereにし、手順4でwouldを使っています。
- If the train is late tomorrow, Sasaki will take a taxi.(電車が遅れれば、佐々木さんはタクシーに乗る。)
→ 手順1で実現しうる未来の条件と判断し、if節はis、主節はwillのままの直説法です。
3文目は仮定法過去ではなく直説法の条件文です。明日の電車遅延は現実に起こりうるため、if節は現在形のまま、主節はwillを使います。仮定法過去と直説法のどちらを使うかは、手順1の判断1つで決まります。
確認問題(編集部作成)
上の4手順だけで解ける問題を2問置きます。手を動かしてから解答を見てください。
【確認問題1】 大学のサークルで新入生歓迎会の会場係を務める皆川さんは、今の会場が手狭で、新入生全員を招待できないと感じています。「会場が今の倍の広さなら、皆川さんは新入生全員を招待できるだろう」を英語にする場合、正しいのはどちらですか。
A. If the venue were twice as large, Minagawa could invite all the new members. B. If the venue is twice as large, Minagawa will invite all the new members.
【解答】 A
【解説】 手順1で、会場の広さが今のままであるという現実に反した仮定だと判断します。手順3でbe動詞をwereにします。手順4でwillではなくcouldを使うため、Aが正しい形です。
【確認問題2】 会社員の尾崎さんは、今の給与のままでは在宅勤務用の新しいノートパソコンを買えないと感じています。「収入が今の1.5倍あれば、尾崎さんは新しいノートパソコンを買うだろう」を英語にする場合、空所に入るのはどちらですか。
If Ozaki ( ) 1.5 times his current salary, he would buy a new laptop.
A. earned B. earns
【解答】 A
【解説】 手順1で今の給与という現実に反した仮定だと判断し、手順2でearnを過去形earnedにします。手順4でwouldを使っているため、if節も過去形にそろえる必要があります。
※本問・本例文は編集部が作成したオリジナルです。過去問・教材からの転載ではありません。
間違えやすい罠:直説法との取り違えとwere/wasの混同
仮定法過去で起きる誤りを集めると、直説法との混同か、be動詞の形の取り違えのどちらかに行き着きます。
| やりがちな判断 | 正しい判断 | なぜずれるか |
|---|---|---|
| if節にwouldを使う(If Morita would have a car, …) | if節は過去形にする(If Morita had a car, …) | 過去にずらすのはif節の動詞であり、if節の中でwouldは使いません |
| be動詞をwasのまま書く(If Ishikawa was the manager, …) | 学校文法ではwereにする(If Ishikawa were the manager, …) | 仮定法過去のbe動詞は、主語が単数でもwereを使うと説明されます |
| 主節にwillを使う(…, Minagawa will invite all the new members.) | 主節はwould/could/mightにする(…, Minagawa could invite all the new members.) | if節だけ過去形にし、主節を直説法のまま残しています |
| 実現しうる未来の条件を仮定法で書く(If the train were late tomorrow, Sasaki would take a taxi.) | 実現しうる未来の条件は直説法で書く(If the train is late tomorrow, Sasaki will take a taxi.) | 事実に反する仮定と、起こりうる未来の条件を同じ形で扱っています |
現在の仮定と過去の仮定は、同じ仮定法という枠組みでも指している時間が違います。作り方の違いは仮定法過去と仮定法過去完了の違いを整理するで比較しています。
次に学ぶ論点:仮定法過去完了へ
仮定法過去は、仮定法という分野の学習順のうち先頭にあたる論点です。同じクラスタ内に前提となる論点はまだ存在しません。
仮定法過去の判断ができるようになったら、次は過去の事実に反する仮定を表す仮定法過去完了に進みます。時制をもう1段階過去にずらす考え方は仮定法過去完了をわかりやすくで確認できます。仮定法全体の学習順は、仮定法の全体像 過去・過去完了・未来・wishの関係の学習順マップのとおりです。
- 次に学ぶ論点:仮定法過去完了をわかりやすく
- 分野全体の順番:仮定法の全体像 過去・過去完了・未来・wishの関係
まとめ
- 仮定法過去は「If+主語+過去形 〜, 主語+would/could/might+動詞の原形 〜.」の形で、現在の事実に反する仮定を表します。
- 過去形を使うのは、現実から離れているという距離感を借りて、事実ではないことを示すためです。
- 判断の手順は、現実か仮定かを見極め、if節を過去形にし、be動詞はwereにし、主節の形を組み立てる、という並びです。
- 実現の可能性がある未来の条件は、仮定法過去ではなく直説法(If+現在形, will+動詞の原形)で表します。
- 仮定法過去完了・仮定法未来・wish構文は、時制をずらすという考え方は共通しますが、指す時間や実現可能性が異なります。
本記事は英語学習を目的とした情報であり、個別の学習指導・答案添削ではありません。 試験制度・出題形式は変更されることがあります。受験の際は必ず公式の最新情報をご確認ください。 → 免責事項(/policy/)
最終確認日:2026-09-21

