If it were not for と If it had not been for は、並べると違いがわずかに見えます。さらに Without や But for でも言い換えられるため、選び方で迷いやすくなります。決め手は、主節が今のことか過去のことかの1点です。
この記事で分かること
- If it were not for と If it had not been for を選び分ける5つの手順
- Without・But for への書き換えと、時点の読み取り方
- 仮定の Without と、普通の「〜なしで」の見分け方
対象:学校文法(仮定法の慣用表現)
If it were not forとは何か(「〜がなければ」を仮定法で表す形)
If it were not for A は「Aがなければ」を表し、今は A があるという事実を、無いものとして仮定します。
過去の話では If it had not been for A(Aがなかったら)になり、主節は would have+過去分詞です。どちらを使うかは、仮定している時点が今か過去かで決まります。
| 形 | 訳の目安 | 実際の状況 | 主節の形 |
|---|---|---|---|
| If it were not for A | Aがなければ | 今は A がある | 助動詞(would・could・might)+動詞の原形 |
| If it had not been for A | Aがなかったら | あのときは A があった | 助動詞(would・could・might)+have+過去分詞 |
| Without A/But for A | Aがなければ/Aがなかったら | 主節の形で決まる | 上の2通りのどちらか |
仮定法は、学習指導要領の言語材料に挙がっています。中学校(平成29年告示)では「仮定法のうち基本的なもの」、高等学校(平成30年告示)では「仮定法」です(出典は記事末)。If it were not for のような言い回しは、高校英文法を扱う学習教材で、仮定法の慣用表現として取り上げられることが多くあります。
仮定法のなかでの位置は、仮定法の全体像 過去・過去完了・未来・wishの関係の学習順マップが示しています。本記事が扱うのは、この形の意味、時点による選び分け、Without・But for への書き換えです。倒置の作り方は扱いません。主節の組み立ては、仮定法過去の使い方 現在の事実に反する仮定と仮定法過去完了をわかりやすく 過去への仮定で作る形がそのまま入ります。
If it were not forでつまずくのは時点の選択・後ろの語・書き換え後の読み方
were と had not been は見た目の差が小さいのに、指している時間が正反対です。
1つ目は、時点の選択です。日本語の「〜がなければ」は今にも過去にも使えるため、日本語だけでは形が決まりません。基本の組み合わせでは、決め手は主節が今か過去かです。
2つ目は、for のあとに続く語の形です。for は前置詞なので、「主語+動詞」の組はそのまま続けられません。
3つ目は、Without・But for に書き換えたあとの読み方です。if節の形が消えるため、形の上での時点の手がかりは主節だけになります。
If it were not forの意味を決め、Without・But forへ書き換える5つの手順
組み立てるときも読むときも、同じ5つの手順を使います。読む場合は、手順2で主節の形から時点を逆算します。
以下の順番で確認してください。

手順1:for のあとを名詞または名詞句にできるか確認する
「Aがなければ」の A を、名詞か名詞句にできるかを見ます。for は前置詞で、あとに主語と動詞の組を続けられないためです。名詞句にできないときは、この形を使わず if節で書きます。
「遠藤さんが早く報告してくれなければ」は、Endo’s early report と名詞にします。
手順2:仮定している時点が今か過去かを決める
書く場合は、日本語の文が指す時間を決めます。Without の文を読む場合は、仮定の文だと確かめたうえで(後述)、主節が would+動詞の原形なら今、would have+過去分詞なら過去と逆算します。
今と過去の選び方そのものは、仮定法過去と仮定法過去完了の違いを整理するでも比べられます。if節が過去で主節が今を表す組み合わせは、この逆算が当てはまらないため、本記事では扱いません。
手順3:時点に合わせて If it were not for か If it had not been for を選ぶ
手順2で決めた時点が今なら were not for、過去なら had not been for を、先頭の If it に続けます。学校文法の基本の扱いでは、仮定法の be動詞は主語が it でも were です。会話では was の形も耳にしますが、本記事は学校文法の扱いで進めます。
手順4:主節の形を時点にそろえる
主節の助動詞は would・could・might から選びます。そのあとを、今なら動詞の原形、過去なら have+過去分詞にします。if節だけを直して主節が will のまま残ると、時点が食い違うためです。
手順5:必要なら Without・But for に言い換える
手順3の if節の部分を、そのまま Without A か But for A に置き換えます。A と主節は変えず、形の上で時点を示す役目は、主節の形が引き継ぎます。
意味の近い言い換えですが、同じ場面で同じように使えるとは限りません。But for は、やや硬い表現とする解説が複数あります。
手順の実演:3組の文で確かめる
例1:今の仮定
- If it were not for the label printer, Takeda would write every tag by hand.
(ラベルプリンターがなければ、武田さんはタグを手書きするだろう。) → 手順2で今と決め、手順3で were not for を選び、手順4で主節を would+動詞の原形にしています。
例2:過去の仮定
- If it had not been for Endo’s early report, the leak would have spread.
(遠藤さんの早い報告がなかったら、水漏れは広がっていただろう。) → 手順1で名詞句にし、手順2で過去と決め、手順3で had not been for を選び、手順4で主節を would have+過去分詞にしています。
例3:Without・But for への言い換え
- Without the label printer, Takeda would write every tag by hand.
- But for Endo’s early report, the leak would have spread.
→ 手順5で if節の部分だけを置き換え、主節の形から1文目は今、2文目は過去と読みます。
倒置にした形との関係
例1と例2は、ifを省いた形にも書き換えられます。
- Were it not for the label printer, Takeda would write every tag by hand.
- Had it not been for Endo’s early report, the leak would have spread.
ifを省く一般的な手順は、仮定法の倒置 If省略とWere・Had・Shouldが4つの手順に分けています。
仮定の Without と普通の without を見分ける
Without の文を仮定として読む手がかりは、主節が would・could・might を含む形になっていることです。そうした形が見当たらないときは、事実や一般的な内容を述べる文として「〜なしで」と読むのが基本です。But for も、仮定の主節が続かないときは「〜を除いて」の意味になることがあります。
同じ語に、仮定の読みと事実を述べる読みがある点は、as if にもあります。as if の側は、as ifの使い方 仮定法の時制と直説法の使い分けの論点です。
確認問題(編集部作成)
上の5手順だけで解ける問題を2問置きます。手を動かしてから解答を見てください。
【確認問題1】 守屋さんは昨日の商談で、小松さんの比較表のおかげで契約を取れました。「比較表がなかったら、契約を取れていなかっただろう」にあたる英文はどちらですか。
A. If it were not for Komatsu’s chart, Moriya would not have won the deal. B. If it had not been for Komatsu’s chart, Moriya would not have won the deal.
【解答】 B
【解説】 手順2で、昨日の話なので過去と決めます。手順3で選ぶ had not been for は、主節の would not have won と時点が合います。Aは were not for を選んでおり、時点がずれた形です。
【確認問題2】 船の運航係の広瀬さんは、今、潮見表で出航の時刻を決めています。次の Without の文を If it で始まる形に書き換えるとき、空所に入るのはどちらですか。
Without the tide chart, Hirose would not know when to sail. If it ( ) the tide chart, Hirose would not know when to sail.
A. were not for B. had not been for
【解答】 A
【解説】 手順5を逆にたどります。主節の would not know は would+動詞の原形で、手順2により今の話です。手順3で were not for を選びます。Bは、主節が would not have known になる基本の組み合わせの形です。
※本問・本例文は編集部が作成したオリジナルです。過去問・教材からの転載ではありません。
間違えやすい罠:後ろの節・時点のずれ・Withoutの読み違い
日本語の「〜がなければ」を語順のまま写すと、for のあとに節を置いた文ができます。英文はいずれも、誤りの形を含めて編集部の自作です。
| やりがちな判断 | 正しい判断 | なぜずれるか |
|---|---|---|
| for のあとに節を置く(If it had not been for Endo reported the problem early, the leak would have spread.) | 名詞句にして置く(If it had not been for Endo’s early report, …)。節で言うなら if節にする(If Endo had not reported the problem early, …) | for は前置詞で、あとに主語と動詞の組を続けられません。「遠藤さんが報告してくれなければ」の語順を、そのまま写しています |
| if節は今、主節は過去の形にする(If it were not for Endo’s early report, the leak would have spread.) | 主節が would have+過去分詞なら、if節は If it had not been for にそろえる | were は今の仮定、would have+過去分詞は過去の仮定を表します。1文のなかで時点が食い違っています |
| Without の文を、時点を決めずに「今 A がなければ」と訳す(Without Endo’s early report, the leak would have spread.) | 主節の would have+過去分詞から過去と読み、「報告がなかったら、広がっていただろう」と訳す | Without も But for も if節の形を持たないため、形の上で時点を示すのは主節の形だけです |
| Without を見たら仮定の文だと決める(Without the old map, Takeda reached the office on time.) | 主節に仮定の形が見当たらなければ、事実を述べる文として「古い地図なしで、時間どおりに事務所へ着いた」と読むのが基本 | Without には、仮定を含まない「〜なしで」の使い方があります。仮定として読む手がかりは、主節の would・could・might を含む形です |
次に学ぶ論点:仮定法の全体像と残る論点へ
この論点は「仮定法の倒置」を前提にしています。手が止まる場合は前提から確認してください。
ifを省く倒置も、Without・But for も、if節の中身を書き換えた表現です。
- 前提になる論点:仮定法の倒置 If省略とWere・Had・Should
- 次に確認する内容:仮定法の全体像 過去・過去完了・未来・wishの関係
出典
【出典】
- 文部科学省「現行の学習指導要領(外国語・抜粋)」(中学校:平成29年告示、高等学校:平成30年告示) https://www.mext.go.jp/content/20251216-mxt_kyoiku01-000046366_9.pdf (2026-10-03 確認)
※学習指導要領は改定されることがあります。本記事の記述は上記告示時点のものです。
まとめ
- If it were not for A は「Aがなければ」、過去の仮定は If it had not been for A です。
- 手順は、名詞句の確認、時点の決定、形の選択、主節の調整、必要なら言い換えの順です。
- 読むときは、主節が would+動詞の原形なら今、would have+過去分詞なら過去と逆算します(基本の組み合わせの場合)。
- Without・But for は、if節の部分を置き換えた近い意味の言い換えです。時点は主節で読み、仮定の形が続かない Without は「〜なしで」の意味になることが多くあります。
本記事は英語学習を目的とした情報であり、個別の学習指導・答案添削ではありません。 試験制度・出題形式は変更されることがあります。受験の際は必ず公式の最新情報をご確認ください。 → 免責事項(/policy/)
最終確認日:2026-10-03

