仮定法では、形は過去形や過去完了形なのに、表す内容は今や過去の事実と違うことです。形と意味がずれて見えるため、論点が増えるほど別々の暗記が増えていきます。仮定法で止まりやすいのは、形の暗記から入り、各論点が時制の形を借りて何を表しているかを先に押さえていない場合です。
この記事で分かること
- 仮定法で扱う9論点の一覧と、各論点が表す内容
- どの論点から読み進めるかの順番と、前後の論点のつながり
- 仮定法を一巡する時間の見積もりと、試験対策の位置づけ
対象:学校文法(仮定法)/TOEIC L&R(2026年度時点の出題形式)
仮定法で学ぶ論点はどこまでか
仮定法は、事実と違うことや、実現しそうにないことを、時制の形をずらして述べる文法分野です。本記事では、編集部が学習順に整理した9つの論点を扱います。
中心になるのは、仮定法過去・仮定法過去完了・仮定法未来・wish構文の4つです。ここに、仮定法過去と過去完了を比べる論点、倒置、as if、If it were not for、仮定法現在の5つを加えます。
仮定法は、中学校の基本的なものから始まり、高校の文法事項にも続く分野です。本記事も、基本の形から順に並べます。事実に反する仮定は、現実の条件を述べるif節と似て見えても、時制の使い方が別物になります。
呼び名にも注意が必要です。仮定法未来という呼び方は、教材によって位置づけが異なります。were toやshouldの形を仮定法過去の一種と説明し、「未来」は意味から付けた名前とみなす教材もあるためです。本記事は、高校の英文法教材で広く使われている呼び方に沿って書きます。
仮定法現在も、名前から想像する内容とは違います。if節で仮定する形ではなく、求める・命じる・提案する・必要だと述べる語(動詞・形容詞)のあとのthat節で、動詞が原形になる形を指す呼び名です。なお、insistとsuggestは「主張する」「示唆する」の意味で使う文では普通の時制を取ります。この形の呼び名や説明の仕方にも、教材ごとの違いがあります。
本記事では、混合仮定法(if節と主節で時制が異なる形)とif onlyは扱いません。仮定法の入口として必要な形と順番だけに絞ります。
形の骨格を、先に一覧で見ておきます。
| 論点 | 表す内容 | 形の骨格 |
|---|---|---|
| 仮定法過去 | 今の事実と違う仮定 | if節は過去形、主節はwould/could/might+原形 |
| 仮定法過去完了 | 過去の事実と違う仮定 | if節は過去完了形、主節はwould/could/might have+過去分詞 |
| 仮定法未来 | 実現の見込みが低い未来の仮定 | if節にwere toまたはshouldを使う |
| wish構文 | 事実と違う願望 | wishのあとの節を、過去形やhad+過去分詞、would+原形などにする |
| 仮定法現在 | 要求・命令・提案・必要性などの内容 | 求める・命じる・提案する・必要だと述べる語(動詞・形容詞)のあとのthat節で動詞が原形(基本の形) |
この表は、形の骨格だけを並べたものです。仮定法過去とwish構文は、どちらも過去形を使います。違いは、使う場所がif節の中か、wishのあとの節かという点です。仮定法現在だけは、動詞が原形のままで、時制の形を借りていません。
仮定法の学習の順番(学習順マップ)
9つの論点のうち、比較の論点を除く8つには、読む順番があります。手がかりは、前の論点で作った形が、後の論点でも材料として使われるかどうかです。8つの論点を5つの段階に並べ、比較の論点は段階1のあとの別枠に置いています。

段階1は、仮定法過去と仮定法過去完了です。仮定している内容が今の事実に反するのか、過去の事実に反するのかで形が決まる、一組の論点です。段階1のあとには、2つの形のどちらを選ぶかを比べる論点を、別枠として置きます。学習順の本線には入らず、段階1の確認として読む位置づけです。
段階2は仮定法未来です。仮定法過去の形に慣れてから、実現の見込みの低さで形を選ぶwere toとshouldを加えます。
段階3のwishとas ifは、if節ではない場所で時制をずらす論点です。wishを先に置くのは、as ifの後ろが仮定法の形になるときの時制の形(過去形・had+過去分詞)が、wishの後ろの節と同じになるためです。as ifの後ろが直説法の形になる文には、この考え方が当てはまりません。
段階4は、倒置とIf it were not forです。倒置はif節の形を変える表現で、If it were not forにはその倒置した形があります。そのため、倒置を先にします。
段階5の仮定法現在は、最後です。他の論点の多くは時制をずらす考え方で動いていますが、仮定法現在は動詞を原形にする別の考え方で動きます。that節でshouldを使う形もあり、仮定法未来のshouldと見た目が似ているため、仮定法未来を終えてから進みます。
段階の途中で詰まったときは、1つ前の段階に戻ると原因を探しやすくなります。たとえば倒置で止まった場合、手前にある仮定法過去完了のhad+過去分詞の形や、仮定法未来のshouldの形が曖昧になっていることがあります。
過去形と過去完了の形そのものが不安な場合は、時制分野の土台を先に固めてください。仮定法は、時制の形を借りて作る分野だからです。
仮定法の論点別ガイド
各論点が何を問うのか、どこで詰まりやすいのかを、1つずつ短く紹介します。手順そのものは各記事に任せ、ここに置くのは要点だけです。並びは学習順で、比較の論点だけが別枠です。
- 仮定法過去:今の事実と違う仮定を、過去形を使って表す形です。過去形なのに現在のことを指す点で詰まりやすく、仮定法過去の使い方 現在の事実に反する仮定でif節と主節の組み立てを確認できます。
- 仮定法過去完了:過去の事実と違う仮定を、時制をもう1段階ずらして表します。仮定法過去完了をわかりやすくには、would have+過去分詞の形が増える理由も載っています。
- 仮定法過去と過去完了の違い(学習順の別枠):2つの形のどちらを選ぶかという論点です。仮定している時点の見極めが問われるため、選び方は仮定法過去と仮定法過去完了の違いにまとめています。
- 仮定法未来:were toとshouldで、実現の見込みが低い未来の仮定を表します。主節に使える形がwere toとshouldで異なる点が、仮定法未来の使い方 were toとshouldの違いの中心です。
- wish構文:wishのあとの節に、事実と違う願望を入れる形です。なぜ過去形にするのかが詰まりどころで、hopeとの違いまで含めてwish構文の使い方 仮定法との関係を読むと整理できます。
- as if:「まるで〜であるかのように」を表します。後ろに仮定法の形が来る場合と直説法の形が来る場合があり、その見分け方は、as ifの使い方 仮定法の時制で整理しています。
- 仮定法の倒置:ifを省略して、Were・Had・Shouldを文の頭に出す形です。元のif文に戻せるかどうかが問われる論点で、読解で出会う場面も含めた解説は、仮定法の倒置 If省略とWere・Had・Shouldにあります。
- If it were not for:「〜がなければ」という慣用的な言い方です。今の仮定か過去の仮定かで形が変わるため、時点の見極めで詰まりやすくなります。意味の近い言い換えであるWithoutやBut forも含めて整理したIf it were not forの意味と使い方も、あわせて読めます。
- 仮定法現在:求める・命じる・提案する・必要だと述べる語(動詞・形容詞)のあとのthat節で、動詞が原形になるのが基本の形です。時制をずらす形ではないため、別系統の論点として考えます。動詞が原形になる理由は、仮定法現在とは that節の動詞が原形になる理由で読めます。
順番を間違えると起きやすいこと
仮定法の記事は1本ずつ独立して読めるため、前の論点を飛ばしたまま次へ進めてしまいます。飛ばした論点ごとに、起きやすいことを表にまとめます。この表は、各論点の記事の内容から編集部が整理した想定です。実測や調査にもとづく結果ではありません。
| 飛ばした論点 | 次に起きやすいこと |
|---|---|
| 仮定法過去・仮定法過去完了 | 今の話か過去の話かを見ずにif節の形を選び、形の暗記だけが残ることがある |
| 仮定法未来 | were toとshouldを同じ感覚で選び、主節に使える形の違いで迷うことがある |
| wish構文 | 後ろの節を過去形にする理由が分からず、現在形のまま書くことがある |
| 仮定法の倒置 | 倒置された文を見ても、元のif文に戻せず、読解で意味が取りにくいことがある |
| 仮定法現在 | 主節が過去形だとthat節も過去形にしたり、主語に合わせてsを付けたりすることがある |
仮定法の論点の多くは、仮定法過去で作った「過去形の距離感」を別の場面へ持ち込んで動いています。距離感の意味が曖昧なまま先に進むと、論点ごとに別々の暗記項目が増えやすくなります。
仮定法を一巡するのにかかる時間
一巡に要する時間について、編集部が確認した公式資料には目安の記載がありません。以下は、論点の数を土台にした編集部の見積もりです。
9論点それぞれについて、解説を読み、各記事に編集部が用意した確認問題を1〜2問解くところまでを1論点1時間と置きます。合計は9時間です。ノートへの書き出しにかける時間は、この1時間に入れていません。書き出しながら学ぶ場合は、その分を足してください。
週に確保できる時間ごとに、一巡までの期間を並べます。
| 確保のしかた | 平日 | 休日 | 週の合計 | 9時間に必要な期間 |
|---|---|---|---|---|
| 平日は短く、休日は1時間 | 0.5時間×5日=2.5時間 | 1時間×2日=2時間 | 4.5時間 | 2週間 |
| 平日は短く、休日は2時間 | 0.5時間×5日=2.5時間 | 2時間×2日=4時間 | 6.5時間 | 約1.4週間(10日前後) |
論点ごとに、かかる時間には差が出ます。形を組み立てる練習が要る仮定法過去や仮定法過去完了は、1時間より長くなりがちです。考え方を押さえることが中心の仮定法現在は、短く済むことがあります。時制分野の土台がまだ固まっていない場合は、その学習時間を別に見込む必要があります。
9時間は一巡の目安であり、仮定法が使いこなせる状態になる保証ではありません。一巡したあとに、間違えた論点だけを読み直す時間は別に見込んでください。
仮定法のほかの分野も含めて英文法を学び直す順番は、英文法のつまずきとは何か 学び直しの進め方で組み立てられます。
試験対策との関わり
試験の対策は、仮定法の形を一通り押さえてから始める方が、つまずきの原因を切り分けやすくなります。演習で間違えたときに、形の問題なのか、時点の見極めの問題なのかを区別できるためです。
TOEIC L&RのPart5は、空所に入る語句を選ぶ形式です。仮定法を含む文が空所補充で出された場合、if節の動詞の形と主節の助動詞の形が対応していることは、選択肢を絞る手がかりになります。ただし、仮定法がどの程度の頻度で問われるかについて、編集部は予想をしません。出題の傾向は、実施団体が公表する情報で確認してください。
試験の側から文法問題の解き方を確認したい場合は、TOEICの文法問題で失点しないための解き方を読むと見通しが立ちます。仮定法の判断で止まったときは、先にこの分野の論点記事へ戻る流れが向いています。
英文を読んだり聞いたりする場面では、倒置やas ifのように、形が見慣れないまま出会う表現があります。試験ごとに出題形式は異なるため、個別の試験で仮定法がどう扱われるかは、各試験の公式情報を確認してください。
まとめ
- 仮定法は、編集部の整理で9つの論点に分かれます。中心は仮定法過去・過去完了・未来・wishの4つで、そこに比較・倒置・as if・If it were not for・仮定法現在が加わります。
- 学習順は、仮定法過去と過去完了、仮定法未来、wishとas if、倒置とIf it were not for、仮定法現在の5段階です。比較の論点は、段階1のあとの別枠に置きます。
- 後の論点の多くは、前の論点で作った時制の考え方を使います。順番を飛ばすと、形の暗記だけが増えやすくなります。
- 一巡の時間は、確認した公式資料に目安の記載がありません。編集部の想定では、週4.5〜6.5時間の確保で2週間前後から10日前後です。
- 試験対策は、仮定法の形を一通り押さえてから進めると、間違いの原因を切り分けやすくなります。
本記事は英語学習を目的とした情報であり、個別の学習指導・答案添削ではありません。 試験制度・出題形式は変更されることがあります。受験の際は必ず公式の最新情報をご確認ください。 → 免責事項(/policy/)
最終確認日:2026-10-03