wishに続く節をなぜ過去形にするのか分からないまま、「wish+主語+過去形」の形だけを丸暗記しようとすると、少し場面が変わっただけで作れなくなります。後悔を表す場面やhopeとの違いになると、この丸暗記だけでは通用しません。この迷いは、wishが仮定法と同じ「距離感の借用」という考え方で時制を決めている一点から起きます。
この記事で分かること
- wishに続く節がなぜ仮定法過去・仮定法過去完了と同じ形になるのか
- 現在の願望・過去の後悔・相手への不満で形を使い分ける手順
- hopeとwishをどちらを使うか判断する基準
対象:学校文法(wish構文・仮定法)
wish構文とは何か(仮定法と同じ考え方で事実と違う願望を表す形)
wishは、「〜であればいいのに」という、事実とは違う内容への願望を表す動詞です。後ろに続く節の形は、仮定法過去・仮定法過去完了と同じ考え方で決まります。
骨格は3つあります。1つ目は、wish+主語+過去形(be動詞はwere)で、現在の事実に反する願望を表す形です。2つ目は、wish+主語+had+過去分詞で、過去の事実に反する願望、つまり後悔を表します。3つ目は、wish+主語+would+動詞の原形で、自分以外の相手や物事が変わらない状況への不満を表す形です。
過去形を使うのは、if節の動詞を過去形にする仮定法過去の使い方 現在の事実に反する仮定と同じ、「現実から離れている」という距離感を借りる考え方です。もう1段階前の内容を表すときは、仮定法過去完了をわかりやすくで扱った時制のずらし方をそのまま使います。
学校文法では、if onlyをwishを強めた表現として説明することがあります。as ifも「まるで〜であるかのように」という比較を表す表現として、同じ時制のずらし方で説明されます。本記事ではwish構文の3つの形に絞って扱い、if only・as ifへの広げ方には立ち入りません。
つまずくのは「なぜ過去形にするのか」が分からないこと
wishが崩れる箇所は、時制をどこまで過去へ押し下げるかを決め切れていない一点です。
1つ目は、今の願望を話しているのに、過去形にする理由が分からず現在形のまま書いてしまうことです。「〜だといい」という日本語の感覚に引きずられ、距離感を作る過去形を省いてしまいます。
2つ目は、過去の後悔を表す場面で、仮定法過去の形で止めてしまうことです。had+過去分詞まで時制をもう1段階ずらす必要があるのに、単純な過去形のままにしてしまいます。
3つ目は、hopeとの実現可能性の違いを判断しないまま、どちらの内容にもwishを使ってしまうことです。実現できる可能性がある内容には、本来hopeを使います。
wish構文を組み立てる5つの手順
以下の順番で確認してください。実現可能性を先に判定し、時制をどこまでずらすかをそのあとで決める並びです。

手順1:実現可能性があるかどうかを確認する
まず、話している内容が実現できる可能性を持つかどうかを確認します。実現の見込みがある内容ならhopeを使い、wishの手順には進みません。事実に反する内容、または実現の見込みがほとんどない内容だけがwishの対象です。
手順2:今のことか過去のことかを確認する
事実に反する願望だと判断したら、その内容が指している時点が現在か過去かを確認します。現在のことなら手順3、過去のことなら手順4に進みます。
手順3:現在のことならwish+主語+過去形にする
現在の事実に反する願望は、wishの後ろの節を過去形にします。wishの後ろでbe動詞を使う扱いも仮定法過去と同じで、学校文法では主語が単数でもwereを選ぶとされています。
手順4:過去のことならwish+主語+had+過去分詞にする
過去の事実に反する願望、つまり後悔を表す場合は、時制をもう1段階過去にずらし、had+過去分詞にします。過去形のままでは、まだ現在の願望を表す形にとどまります。
手順5:相手の変わらない行動への不満ならwish+主語+would+原形にする
自分以外の相手や物事が変わらない状況への不満は、wish+主語+would+動詞の原形で表します。wish+would は、話し手自身の意志ではなく、相手や状況の変わらなさへの不満を表す形です。
次の3文は、手順1〜5のどこに当たるかを示したものです。
- Nakamura wishes the meeting room were larger today.
(中村さんは、今日の会議室がもっと広ければいいのにと思っています。) → 手順1で実現できない内容と判断し、手順2で現在のことと判断し、手順3でbe動詞をwereにしています。
- Takahashi wishes he had submitted the report before yesterday’s deadline.
(高橋さんは、昨日の締め切り前に報告書を提出しておけばよかったと思っています。) → 手順2で過去のことと判断し、手順4でhad+過去分詞にしています。
- Nakamura wishes Kobayashi would stop checking his phone during meetings.
(会議中に小林さんがスマートフォンを確認するのをやめてくれたらいいのに、と中村さんは感じています。) → 手順1で実現の見込みが低いと判断し、手順5で自分以外の主語にwouldを使っています。
hopeとの違いも、次の1文で確認できます。
- Nakamura hopes the new project starts on schedule next month.
(来月、新しいプロジェクトが予定どおりに始まることを、中村さんは望んでいます。) → 手順1で実現できる可能性がある内容と判断し、wishではなくhopeを使っています。
確認問題(編集部作成)
上の5手順だけで解ける問題を2問置きます。手を動かしてから解答を見てください。
【確認問題1】 学生の渡辺さんが住んでいるアパートは壁が薄く、隣の部屋の物音がよく聞こえます。「壁がもっと厚ければいいのに」を英語にする場合、正しいのはどちらですか。
A. Watanabe wishes the walls were thicker. B. Watanabe wishes the walls are thicker.
【解答】 A
【解説】 手順1で、壁の厚さは今すぐ変えられない事実だと判断します。手順2で現在のことだと判断し、手順3で過去形にする必要があるため、areのままのBは誤りです。
【確認問題2】 中村さんは昨日、大事な着信に気づかず、退社してから折り返しの電話をすることになりました。「電話を確認しておけばよかった」を英語にする場合、空所に入るのはどちらですか。
Nakamura wishes he ( ) his phone before leaving the office yesterday.
A. had checked B. checked
【解答】 A
【解説】 手順2で、昨日という過去の出来事についての後悔だと判断します。手順4で、過去形checkedのままでは1段階足りず、had+過去分詞のhad checkedにする必要があります。
※本問・本例文は編集部が作成したオリジナルです。過去問・教材からの転載ではありません。
間違えやすい罠:時制のずれとhopeとの混同
wishでよく起きる誤りは2種類あります。時制を必要な分だけずらせていないケースと、実現できる内容にまでwishを使ってしまうケースです。
| やりがちな判断 | 正しい判断 | なぜずれるか |
|---|---|---|
| 現在の願望に現在形を使う(Nakamura wishes the meeting room is larger today.) | wishの後ろは過去形にする(Nakamura wishes the meeting room were larger today.) | 距離感を作る過去形を使わないと、事実に反する願望だと伝わりません |
| 過去の後悔を過去形止まりで書く(Takahashi wishes he submitted the report before yesterday’s deadline.) | had+過去分詞にする(Takahashi wishes he had submitted the report before yesterday’s deadline.) | 時制をもう1段階過去にずらす必要があります |
| wish+would を自分自身の主語で使う(Nakamura wishes he would stop checking his phone.) | 主語を自分以外にする(Nakamura wishes Kobayashi would stop checking his phone during meetings.) | wish+would は、自分の意志ではなく相手や状況の変わらなさへの不満を表す形です |
| 実現できる内容にwishを使う(Nakamura wishes the new project starts on schedule.) | 実現できる内容にはhopeを使う(Nakamura hopes the new project starts on schedule next month.) | wishとhopeは、実現可能性の違いで使い分けます |
仮定法過去・仮定法過去完了と同じく、wishでも時制をどこまでずらすかが判断の分かれ目になります。
次に学ぶ論点:仮定法の学習順マップへ戻る
この論点は「仮定法未来」を前提にしています。手が止まる場合は前提から確認してください。
wishの前提になるのは、実現の可能性がかなり低い内容を表す仮定法未来の使い方 were toとshouldの違いです。were toとshouldの実現可能性の低さと、wishが事実に反する内容を表す考え方には共通点があります。
- 前提になる論点:仮定法未来の使い方 were toとshouldの違い
- 次に確認する内容:仮定法の全体像 過去・過去完了・未来・wishの関係
まとめ
- wishは、事実とは違う内容への願望を表し、後ろの節の形は仮定法過去・仮定法過去完了と同じ考え方で決まります。
- 現在の事実に反する願望はwish+主語+過去形、過去の事実に反する願望(後悔)はwish+主語+had+過去分詞にします。
- 自分以外の相手や物事が変わらない状況への不満は、wish+主語+would+動詞の原形で表します。
- 判断の手順は、実現可能性を確認し、今のことか過去のことかを確認し、そのうえで形を選ぶという並びです。
- 実現できる可能性がある内容にはwishではなくhopeを使います。if only・as ifは、学校文法では同じ考え方の拡張として扱われます。
本記事は英語学習を目的とした情報であり、個別の学習指導・答案添削ではありません。 試験制度・出題形式は変更されることがあります。受験の際は必ず公式の最新情報をご確認ください。 → 免責事項(/policy/)
最終確認日:2026-09-21

