仮定法の倒置 If省略とWere・Had・Should|英文法の地図

仮定法の倒置を解説する記事のアイキャッチ 文法項目別の解き方

ifがないのに Were や Had で始まる文を読むと、疑問文なのか仮定法なのか、判断がつかなくなります。作る側でも、文頭に出せる語が曖昧なままだと、ifを消しただけの文になりがちです。

この記事で分かること

  • ifを省略して Were・Had・Should を文頭に出す4つの手順
  • 倒置の文を元のif文に戻して読む見分け方
  • 本記事で扱う倒置の、できる場合とできない場合の境目

対象:学校文法(仮定法のif省略と倒置)

仮定法の倒置とは何か(if節の were・had・should を主語の前に出す形)

仮定法の倒置は、if節からifを取り除き、その節の were・had・should を主語の前へ出す形です。

仮定の内容は元のif文と同じで、主節にも手を加えません。違うのは文体で、倒置は書き言葉や改まった文章で目にする形です。会話では、ifを残した文が使われる場面が多くなります。

元のif節倒置した形文頭に出る語
If+主語+were〜Were+主語〜were
If+主語+were to+動詞の原形Were+主語+to+動詞の原形were
If+主語+had+過去分詞Had+主語+過去分詞had
If+主語+should+動詞の原形Should+主語+動詞の原形should

were to と should を使う形は、多くの高校英文法の教材で「仮定法未来」と呼ばれています。教材によって位置づけが異なり、仮定法過去の一種とする教材もあるため、本記事では便宜上の呼び名として使います。

学習指導要領の文法事項には、中学校(平成29年告示)で「仮定法のうち基本的なもの」が挙がっています。高等学校(平成30年告示)の英語コミュニケーションⅠにも「仮定法」があります(出典は記事末)。倒置の形そのものは、高校の教材で扱われることが多い項目です。倒置が学習順のどこに入るかは、仮定法の全体像 過去・過去完了・未来・wishの関係に図があります。

本記事が扱うのは、ifを省略した倒置の作り方と、元のif文への戻し方です。were to と should の意味の違いは、仮定法未来の使い方 were toとshouldの違いが土台になります。倒置の元になる形は、仮定法過去の使い方 現在の事実に反する仮定と仮定法過去完了をわかりやすくを先に読むと思い出せます。If it were not for を倒置にした Were it not for は、本記事では扱いません。

つまずくのは「出せる語の見極め」「疑問文との取り違え」「not の位置」

倒置の文は、作る場面と読む場面で止まる箇所が違います。

1つ目は、文頭に出せる語の範囲です。ifを消して一般動詞を文頭に置く文を作りがちです。学校文法では、出せる語は were、過去完了の had、should の3語として扱います。lived のような一般動詞の過去形は、そのままでは文頭に出せません。had が「持つ」の意味の一般動詞のときの倒置は、本記事では扱いません。

2つ目は、疑問文との区別です。Were や Had で始まる文は、疑問文と同じ語順です。そのため、仮定法の文だと気づかないまま、疑問文として読み始めてしまいます。

3つ目は、否定の位置です。not まで文頭へ出さず、主語のあとに残します。

ifを省略して倒置にする4つの手順と、元のif文に戻す見分け方

以下の順番で確認してください。

ifを省略して倒置にする4つの手順を示した図

手順1:if節の中に were・had・should があるかを確認する

if節の述語が、were、had+過去分詞、should+動詞の原形、were to のどれかになっているかを見ます。この4つの形で文頭に出るのは、were・had・should の3語です。倒置に使う語は、学校文法の基本の扱いでは、この3語に限ります。疑問文で前に出る語なら何でも出せるわけではなく、could や did などは、本記事の手順では対象にしません。どれもなければ、倒置にせずifを残します。

手順2:ifを消す

if節の先頭にある if を取ります。条件を示す役目は語順の入れ替えが担うため、ifは残しません。

手順3:were・had・should を主語の前に出す

ifを消したあとの were・had・should を、主語の前へ移します。had+過去分詞は had だけを、were to は were だけを出し、残りは主語のあとに置きます。

手順4:not を主語のあとに置き、主節につなぐ

否定の not は、主語のあとに置きます。主節は元のまま変えず、倒置した部分とコンマで区切ります。

手順の実演:3つの文で確かめる

上段が元のif文、下段が倒置した文です。

例1:仮定法過去の were

  • If the Osaka branch were larger, Kuroda would move his whole team there.
  • Were the Osaka branch larger, Kuroda would move his whole team there.

(大阪支店がもっと広ければ、黒田さんはチーム全員をそこへ移すだろう。) → 手順1で were を確認し、手順2でifを消し、手順3で were を主語の前へ出しています。

例2:仮定法過去完了の had と not

  • If Sakurai had not noticed the typo, the brochure would have gone to print.
  • Had Sakurai not noticed the typo, the brochure would have gone to print.

(桜井さんが誤字に気づかなかったら、パンフレットはそのまま印刷に回っていただろう。) → 手順3で had だけを前へ出し、手順4で not を Sakurai のあとに置いています。

例3:仮定法未来の should

  • If the parcel should come after noon, Mori will ask Ono to sign for it.
  • Should the parcel come after noon, Mori will ask Ono to sign for it.

(荷物が万一正午を過ぎて届いたら、森さんは小野さんに受け取りを頼む。) → 手順3で should だけを前へ出し、主節は変えていません。

倒置の文を元のif文に戻す見分け方

読む場面では、手順を逆にたどります。文頭が Were・Had・Should で、すぐあとに主語が続き、条件の部分のあとにコンマと主節が来るなら、倒置です。戻すときは、文頭の語を主語のあとへ移し、先頭に if を補います。倒置した条件の部分が主節のあとに付く形は、本記事では扱いません。

倒置した形元のif節仮定している内容
Were+主語+形容詞・名詞などIf+主語+were〜今の事実と違うこと(仮定法過去)
Were+主語+to+動詞の原形If+主語+were to+動詞の原形未来のこと(仮定法未来)
Had+主語+(not+)過去分詞If+主語+had(not)+過去分詞過去の事実と違うこと(仮定法過去完了)
Should+主語+動詞の原形If+主語+should+動詞の原形万一起きること(仮定法未来)

同じ Were で始まっても、コンマで区切られず、文末にクエスチョンマークが付く文は疑問文です。

確認問題(編集部作成)

上の4手順と見分け方だけで解ける問題を2問置きます。手を動かしてから解答を見てください。

【確認問題1】 配車係の浜田さんは、橋がまだ開通しておらず、車で通勤できません。「橋が今開通していれば、車で通勤するだろう」という意味の次の文を、ifを省略した形にします。正しいのはどちらですか。

If the new bridge were open now, Hamada would drive to work.

A. Were the new bridge open now, Hamada would drive to work. B. If were the new bridge open now, Hamada would drive to work.

【解答】 A

【解説】 手順1で、if節に were があることを確認します。手順2でifを消し、手順3で were を主語の前へ出します。Bはifが残っているため、手順2が抜けた形です。

【確認問題2】 市川さんは、ルーターを再起動したおかげで会議が始まったと振り返っています。次の倒置の文を元のif文に戻すとき、空所に入るのはどちらですか。

Had Ichikawa not reset the router, the video meeting would have failed.

If Ichikawa (    ) the router, the video meeting would have failed.

A. had not reset B. did not reset

【解答】 A

【解説】 文頭の Had は見分け方の表の3行目で、仮定法過去完了の倒置です。手順3と手順2を逆にたどり、had を主語のあとへ戻してifを補います。not は主語のあとにあるため、had not reset の順です。

※本問・本例文は編集部が作成したオリジナルです。過去問・教材からの転載ではありません。

間違えやすい罠:ifの消し忘れ・出す語の選び違い・not の位置・疑問文との取り違え

ifを残したまま語を出す、一般動詞を出す、not まで出す、疑問文として読む。倒置の取り違えは、こうした形で現れます。表の英文は、いずれも編集部の自作です。

やりがちな判断正しい判断なぜずれるか
ifを残したまま were を前に出す(If were the Osaka branch larger, …)ifを消して were を文頭に出す(Were the Osaka branch larger, …)if が残ったまま、were だけが前に出ています。倒置ではifを消します(手順2)
一般動詞の過去形を文頭に出す(Lived Kuroda in Osaka, he would commute by train.)if節に were・had+過去分詞・should がなければ、ifを残す(If Kuroda lived in Osaka, …)lived のような一般動詞は、疑問文でも文頭に出る語ではありません。本記事では、倒置に使う語を were・had・should の3語に絞ります(手順1)
短縮形ごと文頭に出す(Hadn’t Sakurai noticed the typo, …)had だけを出し、not は主語のあとに置く(Had Sakurai not noticed the typo, …)短縮形の hadn’t は not と一体のまま文頭に出ています。本記事の手順では、前に出すのは had だけで、not は主語のあとに置きます(手順4)
文頭の Were を見て、疑問文だと読む(Were the samples ready now, Aoki could start the test today.)コンマのあとの主節を確認し、If the samples were ready now, … に戻すWere で始まるという形だけで、疑問文の語順と読んでいます。コンマのあとに主節が続くかどうかで見分けます(見分け方の表)

提案・要求を表す語のあとの that節にある should は、倒置の should とは別の形です。こちらは仮定法現在とは that節の動詞が原形になる理由の論点にあたります。

次に学ぶ論点:If it were not forの意味と使い方へ

この論点は「were to と should の形」を前提にしています。形が曖昧なままだと、倒置した文を元のif文に戻せません。

続く論点の If it were not for は「〜がなければ」を表す言い方で、Were it not for という倒置の形もあります。If it were not forの意味と使い方が、その論点の記事です。

出典

【出典】

  • 文部科学省「現行の学習指導要領(外国語・抜粋)」(中学校:平成29年告示、高等学校:平成30年告示) https://www.mext.go.jp/content/20251216-mxt_kyoiku01-000046366_9.pdf (2026-10-03 確認)

※学習指導要領は改定されることがあります。本記事の記述は上記告示時点のものです。

まとめ

  1. 仮定法の倒置は、if節からifを取り、were・had・should を主語の前に出す形です。
  2. 本記事の手順で倒置にするのは、if節に were、had+過去分詞、should(were to を含む)がある場合です。
  3. 作る手順は、if節の語を確認し、ifを消し、その語を前へ出す流れです。not は主語のあとに置きます。
  4. 読むときは、文頭の語とコンマのあとの主節を手がかりに、疑問文と区別して元のif文へ戻します。
  5. 倒置は書き言葉で目にする形です。had が「持つ」の意味の場合と、主節のあとに付く形は、本記事で扱いません。Were it not for は次の記事の論点です。

本記事は英語学習を目的とした情報であり、個別の学習指導・答案添削ではありません。 試験制度・出題形式は変更されることがあります。受験の際は必ず公式の最新情報をご確認ください。 → 免責事項(/policy/)

最終確認日:2026-10-03

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